スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キラキラ 248

「女は思いの外にてもの思ひを添ふるもの・・・」と僕は頭の中で今奈月が言った六条御息所の言葉を一言ずつ唱えてみた。だが、意味が分かるはずもない。それでも、この言葉が、御息所の最期の言葉にふさわしい、ただならぬ重みをもっているということだけは、不思議と伝わってくる。
 奈月は、さらにこう続けた。

 うたてある思ひやりごとなれど、かけてさやうの世づいたる筋に思し寄るな。うき身をつみはべるにも、女は思ひの外にてもの思ひを添ふるものになむはべりければ、いかでさる方をもて離れて見たてまつらむと思うたまふる。

 その流麗な語りは奈月の声でありながら、別の女性の声にも聞こえた。僕が先入観の中で六条御息所の声だと聞いたのかもしれない。いや、それとも、特定の誰かの声ではないような気もする。いずれにせよ、意味が分からないなりに、その言葉が心の奥を震わせたのはたしかだ。
「六条御息所は、光源氏に向かって、娘である前斎宮のことを託しておきながらも、その直後にそんなことを言ったのです。『不快な取り越し苦労かもしれないですけど、決して娘を、男女関係の対象に思わないでください。不幸な私の身を例に考えても分かるように、女っていうものは、思いがけないことで傷つき、物思いを重ねるものなのです。ですから、どうか、娘を女として見ないでくださいね』と、光源氏に釘を刺したのです」
 奈月はそう説明した後で、再び僕の方を見た。それと連動して彼女が手に取った榊の枝が暗闇の中で揺れた。僕は瞬間的に頭に浮かんだことを口にした。
「奈月に聞きたいことがあるんだ。それも、2つほど」
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

作者

スリーアローズ

Author:スリーアローズ
*** 
旅に出ましょう
それも
とびっきり寂しい旅に・・・

最新の文章
リンク
みなさまの声
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
目次
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。