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キラキラ 251

 奈月はそう言った後で、一瞬言葉を詰まらせた。そうしてその次に「この気持ちは、私がどれだけ一生懸命に話しても、それから、何回同じことを繰り返しても、絶対に先輩には分かってもらえないんだろうって思います」と、さっきから何度か言っていることをまた強調した。
 僕はすぐに「そんなことはないよ」と打ち消したかったが、もしかしたら僕は本当に奈月を理解していないのではないかと思うところもあるので、軽はずみは言えなかった。
「そんな中で、今回、先輩と旅行ができたのは『宿世』だと思うんですよ。これまで何度も夢見てきたけど、実現するだなんてとても考えられなかった。思い描くことはできても、実行するだけの勇気自体、弱気な私にはなかったし、それにもし先輩に断られたりしたら、立ち直れないくらいに傷つくだろうから、何よりそれが怖かったです」と奈月は打ち明けた。
「うれしかったよ」と僕は、それが軽はずみとして聞こえないように、心を込めて言った。「奈月が電話をくれて、正直、すごくうれしかった」
 すると奈月は「ありがとうございます」と答えた。淡々とした口調ではあったが、うれしさはちゃんと伝わってきた。再び彼女は、僕の知っている奈月に戻ってきたようだ。どうやら奈月は、2つの人格を行ったり来たりしているように映る。
「今私は『宿世』って言いましたけど、これまでは先輩にメールすらできなかったのに、どういうわけか、今回だけは自分でも不思議なほど自然に電話できたからそう感じるんです。何があっても絶対に電話するんだって、勝手に体が動いてました」
 その時僕は、奈月がもうじき結婚を控えている身であることを久しぶりに思い出した。
「あの日から、旅行が楽しみで、もう、どうにかなりそうでした。そして、昨日、先輩と久しぶりに会って、2人で須磨と明石を歩いていると、すべてが夢のようで、旅が終わるのが哀しくて仕方なかった」
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Author:スリーアローズ
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