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キラキラ 256

「ちょっと待ってくれ」とたまらず僕は口を挟んだ。「それって、冗談なのか、それとも本当なのか、まずはっきりしよう」
「これが冗談に聞こえるんですか?」と奈月はさらに声を震わせた。
 もちろん、冗談に聞こえる。奈月が麻理子に殺意を抱いたと言っているのだ。冗談と言うよりは、コメディだ。ただ問題は、奈月の姿からは冗談を言っているようにはとうてい思えないということだ。僕の頭の中でもつれていた糸はぐちゃぐちゃになって、ついに大きな1つの塊になった。
「ほんとうに、ごめんなさい」と奈月はさらに声を小さく震わせ、鼻をすすった。僕の頭は完全に混乱しているが、どうやら奈月が冗談を言っているのではないということを信じてやらなければ始まらないようだ。そう考え直した途端、脇腹からの流血が止まった。
「奈月は麻理子のことを、姉のような存在だっていつも言ってたじゃないか」
 僕がそう言うと、奈月は泣きながら「麻理子さん、私のことを見抜いてたんです」と返してきた。
「何を?」と僕が問い返した瞬間、さっきから奈月が何度も言っている「僕は彼女のことを理解できない」という台詞が頭に浮かんだ。僕は奈月のことを理解していなかったが、もしかすると麻理子はすべて理解していたのではないかと想像した。その時、胸の真ん中にもう一発ピストルを撃ち込まれたような感覚に陥った。今度は出血はない。だが、その衝撃はさっきよりも鋭く、冷たかった。
「女の勘って、ほんとうに鋭いものなのです」と奈月は続けた。「麻理子さんは、私の心の中をすべてお見通しだったのです。もちろん、あの人は、本当に優しくて、憧れの女性だったんです。だから、何も知らない子供の私は、麻理子さんに心を開きました。優しい麻理子さんは、私を妹のように可愛がってくれました」と奈月は言った。すべては僕の知っている奈月と麻理子の関係だった。
「でも私は、女の恐ろしさというものも、麻理子さんから教わりました」 
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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