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キラキラ 257

「女の、恐ろしさ?」と僕は奈月の言葉をそのまま返した。すると奈月は何も応えぬまま、突然、ゆっくりと歩きだし、杉の木立を離れて本殿の方へと進んだ。野宮神社の境内は本殿に沿って横に広く続いているらしい。
 やがて奈月は建物から10メートル足らずのところでぴたりと足を止めた。ここには比較的背の低い木々が荒れた感じで茂っている。僕にはそれが榊の木であることが直感的に分かった。奈月は涙をすすりながら、その榊の葉をいとおしげに撫で始めた。
「麻理子さんは、すごく優しかったけど、その優しさが全部、負の方向に転化してしまったかのような恐ろしさももっていました」
 僕には心当たりが全くない。麻理子は気遣いのできる素敵な女性という印象しかない。僕たちは3人で食事をすることもあったし、東山を入れてダブルデートをしたこともあった。僕の中古のフォルクスワーゲン・コラードのきわめて狭苦しい後部座席に、麻理子と奈月が2人で乗って、4人でロングドライブをしたことさえある。
 そんな回想をしていると、奈月はまた「先輩は絶対に気づかなかったでしょう」と言った。
「いったい何があったんだ?」
 僕がそう言った時、神社の奥の山で、また何かの獣が鳴き声を浴びた。ホテルの裏山で聞こえたのと同じ声だった。だが今の声は、心なしかさっきよりも近くで聞こえたような気がした。
「女同士でないと分からない世界なのでしょうね。女って、ほとほと嫌になるくらいに面倒くさいし、信じられないくらいに残酷なんです」と奈月は言った。
「でも、今考えてみると、いちばん問題があったのは、私だったのかもしれません。だって、今こうやって先輩とここにいること自体が、アブノーマルじゃないですか?」
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スリーアローズ

Author:スリーアローズ
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