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キラキラ 258

「俺たちは『宿世』で結ばれてここにいるんだろ?」と言うと、奈月は、ふっと、風のような笑い声を上げ、「やっぱり、先輩はやさしいですね」とささやいた。
「その先輩のやさしさがあったら、私はここまでこれたんです。先輩のやさしさを恨んだことも何度かあります。先輩がもっと私につらく当たっていれば、こんなにも悩むことはなかったかもしれないって思ったんです。でも、そうなったらきっと、別の意味でもっとつらくなっただろうし、やさしくない先輩なんてありえないです。だから、結局は『宿世』だと前向きに受け入れるしかないんです」と奈月は言い「まあ、それが『前向き』なのか『後ろ向き』なのかは、分かりませんけどね」と付け足した。
「前向きだと捉える方が、奈月らしいよ」という僕の言葉に、奈月は何も応えなかった。彼女はただ、榊の葉に置いていた手を頬にあてがい、涙を拭いた。
「麻理子さんは、最初から気づいていたのかもしれません」
 奈月はそう言い、涙をすすった。
「でもあの人は、私よりもずっと大人だから、決して表には出さなかったです。そのへんは、本当にすごいと思います。麻理子さんは私のことが大嫌いだったのに、先輩といる時には微塵も感じさせなかった。いや、私でさえも、2年くらいは全く気づかなかったほどです。私は、麻理子さんのことを、実の姉以上に、姉として慕っていたんですから」
 学生時代の記憶が徐々に頭の内側に広がってゆく。
「だから初めて麻理子さんにつらく当たられた時、ショックと言うよりは、ギャグかと思ったほどです。でも麻理子さんの目は、それまで見たことのないくらいに本気で、迫力があって、まるで底なし沼のように恐ろしかった。その時私は、ああ、やってしまった、って本能で悟りました。何がいけなかったのかは分からなかったです。ただ、私が何やら大きなミスをやらかしてしまったことだけは確かなようでした」
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Author:スリーアローズ
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