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キラキラ 273

「そんな罰当たりな自分に取り憑いた悪運を振り払うには、私はまた誰かのために生きなければならないんだって直感しました」と奈月は話を進めた。
「それは、私を育ててくれた家族の手助けをするということでした。それでも、私は、先輩から声がかかることを待ったんです。電話で相談している時、私はその瞬間を期待しました。でも、先輩は、とにかく私と東山君のことに心を砕くばかりで、本心には気づいてはくれませんでしたね。話と話の間で沈黙になると、切り出そうかどうか、ドキドキしました。だけど、私の運気がどん底にあることを考えるとどうしてもためらってしまいました。無理にそんな話を持ち出しても先輩は戸惑うだけだろうし、最悪の場合、嫌われてしまうかもしれないと怖れたんです。もしそんなことになってしまえば、私は2度と立ち直れなかったはずです」
 その時、杉の木立の上の方で小鳥が鳴いた。ずいぶんと甲高い鳴き声だった。さっきから鼓膜を震わせる超音波のノイズのような虫の声の音量も、心なしか大きくなっているような気もする。
「それでも、どうしても我慢できずに、『先輩のことが好きなんです』って言ったこともあるんですよ。しかも、1度や2度じゃないです。でも先輩には全然届かなかった。まあ、一生懸命になって私の進むべき道を考えていてくれてたのはうれしかったですが、あの時は、けっこうヘコんでたんですよ」
 奈月がそんなことを言ってきた記憶はうっすらと残っている。だが、「好き」という言葉ほど、様々な意味で用いられるものはない。あの時僕は、カジュアルな意味でしか彼女の「好き」を捉えなかった。
「でも、先輩の反応は、後になってみると、感謝してるんです。どう頑張っても先輩にはまともに相手にされないんだって、早くに気づくことができたわけですからね。あぁ、私はやっぱり先輩と離れて行ってしまう運命なんだってあきらめた瞬間、佐賀に帰ろうって決心がつきました。そしたら、清々しい気持ちになれました」
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