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キラキラ 294

 まもなく、僕は、あっけなく射精してしまった。
 奈月は、そんな僕を冷静に眺めている。完全に下半身の力が抜けてしまった僕は、杉の大木にもたれたまま腰を下ろす格好になった。身体は火照りきっている。奈月は僕の額にかかった前髪をやさしく撫で、頬に手をやった。冷たい手だった。
 それから彼女は、慈悲深い視線で僕を見下ろしながら、ゆっくりと立ち上がった。いったいどっちが年上なのか分からなくなるような心持ちがした。しかもその姿からは幸恵が想像された。
 幸恵と過ごしたあの時間は、たしかに間違いだったかもしれない。だが、その「間違い」というのは、何を基準にしているというのだろう? 物事の評価は、基準によって変わるものだ。ある視点からすると間違いに思えることが、別の視点で捉えると間違いではなくなることはよくある。
 そう考えると、あの頃僕は、幸恵によって何度も慰められ、自尊心を取り戻すこともできた。幸恵との時間は今でもたしかに輝いている。幸恵と密会することを別の面から捉えると、自尊心を失ったことにもなる。それでも、今となっては、彼女との出会いは僕のこの人生においては避けては通れなかったと思っている。宿世だったのだ。そうして、今、総合的に考えた時、僕は幸恵と出会い、彼女と愛し合ってよかったと感じている。
 だとすれば、今の状況も、後から考えればよかったと思うことができようか・・・
 それにしても、下半身に力が入らなくなった僕は、金縛りにでもかかっているかのようだ。しかも幸恵を彷彿とさせる奈月に見下ろされていることによって、不思議な感覚の中に墜ちている。つまり、今がいつなのか、うまくつかめないでいる。 
 すると奈月は僕に背中を向けて、ゆっくりとしゃがみ込んだ。そうして、まだ十分に固い僕の性器を、いたわしげに撫でた後で、自分の中に挿入した。その間、僕は、まるで映画のシーンでも傍観しているかのように、何の主体性も持たなかった。
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Author:スリーアローズ
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